
住宅ローンで後悔
しないための
資金計画
住宅を購入する時、「毎月いくらなら返済できるか」を基準に予算を決める人は多いでしょう。
しかし、住宅ローンは毎月の返済額だけを見て決めるものではありません。
購入時には諸費用がかかり、購入後には固定資産税や保険、修繕費なども必要です。
さらに、数十年にわたって返済する間には、金利や収入、家族構成が変わる可能性もあります。
「審査が通った」「今の家賃と同じくらい」という理由だけで予算を決めると、購入後になってから家計とのバランスが崩れることもあります。
住宅ローンで後悔しないためには、借りられる金額ではなく、返済を続けながらどんな暮らしを維持したいのかから考えることが大切です。
◆物件価格だけで「予算内」と判断しない
例えば、2,000万円の中古住宅を購入するとします。
予算が2,000万円だからといって、2,000万円をすべて住宅ローンの返済に充てられるわけではありません。
購入時には仲介手数料や登記関係の費用、住宅ローンの借入に伴う費用、火災・地震保険料などが必要になります。
さらに、引っ越しや家具・家電の購入など、入居までにもまとまった支出が発生します。
中古住宅なら、購入後すぐに給湯器やエアコン、水回りなどの設備交換が必要になる可能性もあります。
そのため、予算を考える時は「物件価格はいくらまで」だけではなく、購入時に現金でいくら必要なのか、購入後にいくら手元に残せるのかまで確認しておきたいところです。
◆住宅ローンの審査額は「購入予算」ではない
金融機関の審査に通った金額は、「この金額なら余裕を持って生活できる」という意味ではありません。
審査では収入や他の借入などから返済能力が判断されますが、家庭ごとの生活費や教育費、車の維持費、将来の修繕費まで同じ条件で考えられるわけではありません。
同じ年収でも、子どもの進学を控えている家庭と、教育費の負担が少ない家庭では、住宅に回せる金額は違います。
「銀行からいくら借りられるか」ではなく、ローンを返済しながら毎月いくら貯蓄できるのか、急な支出にも対応できるのかを基準に借入額を考えることが重要です。
◆変動金利は「今の返済額」だけで判断しない
現在の住宅ローンでは変動金利を選択する人も多く、固定金利より低い金利で借りられることが魅力の一つです。
ただし、変動金利は将来の金利が確定しているわけではありません。
ここで注意したいのが、「5年ルール」や「125%ルール」です。
金融機関によって取り扱いは異なりますが、金利が上昇しても一定期間は毎月の返済額を据え置いたり、見直し後の返済額に上限を設けたりする仕組みがあります。
しかし、返済額がすぐに上がらないことと、金利上昇の影響を受けないことは別です。
返済額が据え置かれている間も、金利が上がれば返済額の中で利息の占める割合が増え、元金の減り方が小さくなる可能性があります。
そのため、変動金利を選ぶなら「現在の月々の返済額」だけでなく、金利が上昇した場合に返済額や元金の減り方がどうなるのかまで確認しておく必要があります。
◆金利上昇を「予想」するより、上昇しても
払えるかを見る
住宅ローンを検討するとき、「これから金利は上がるのか、下がるのか」を予想したくなります。
しかし、将来の金利を正確に予測することはできません。
そこで重要なのは、金利の予想を資金計画の中心にしないことです。
例えば、現在の金利で月9万円なら返済できるとしても、金利が上昇した場合に月10万円、11万円になったらどうなのか。
その金額になっても、教育費や車の買い替え、貯蓄、家の修繕費を削らずに生活できるのかを考えてみます。
「金利が上がらないから大丈夫」ではなく、「上がっても対応できる借入額か」を見ることが、変動金利を選ぶうえでの重要なポイントです。
◆中古住宅なら「購入後にかかるお金」まで
見る
不動産の価格だけを比較すると、安い中古住宅は魅力的に見えます。
しかし、築年数や建物の状態によっては、購入後に修繕費が必要になることがあります。
外壁や屋根、給湯器、水回りなど、今後どの部分に費用がかかりそうなのかを確認し、必要なリフォームがあるなら、その費用も含めて資金計画を考えます。
ここで重要なのは、購入後に必要になりそうな工事をすべて同じように考えないことです。
例えば、雨漏りや給排水の不具合、給湯器など、暮らしに直結するものや放置することで建物への影響が大きくなるものは、優先して対応する必要があります。
一方、クロスの張り替えや内装の変更などは、状態によっては入居後に時期を分けて行うこともできます。
ただし、入居して家具や家電が入った後では、床や壁の工事、水回りのリフォームなどで荷物の移動や養生が必要になり、工事の負担が大きくなることもあります。
そのため、中古住宅を購入する時は「リフォーム費用がいくらかかるか」だけでなく、何を優先して、何を後に回せるのか、その工事をいつ行うのが現実的なのかまで考えておくことが大切です。
購入価格を抑えることだけを考えるのではなく、必要な修繕を優先順位に沿って見積もり、入居前に必要な工事費も含めて資金を残しておく。
これが中古住宅の資金計画では重要になります。
◆頭金を入れすぎないという考え方もある
借入額を減らすために、手元資金を頭金として多く入れる方法もあります。
借入額が少なくなれば、利息負担を抑えられる可能性があります。
一方で、購入後に貯金がほとんど残らなければ、設備の故障や修繕、家電の買い替えなど、予想外の出費に対応しにくくなります。
住宅ローンでは「どれだけ借りるか」だけでなく、いくら現金を残しておくかも重要です。
繰り上げ返済についても同じです。
「ボーナスが出たら返す」「退職金で完済する」と最初から当てにするのではなく、通常の収入だけでも返済を続けられる計画にしておき、余裕ができたときの選択肢として考えるほうが家計の変化にも対応しやすくなります。
◆返済期間の最後まで考える
35年ローンなら、30代で購入しても完済時は60代後半になります。
40代以降で購入すれば、定年後まで返済が続くこともあります。
そのため、「今の収入なら払える」という判断だけでは不十分です。
子どもの進学、車の買い替え、親の介護、自宅の修繕など、今後まとまった支出が発生する時期とローン返済が重ならないか。
さらに、定年後に収入が減った場合でも返済できるのか。
退職金を返済に充てるなら、老後の生活資金がどの程度残るのか。
住宅ローンの返済表を、購入時から完済まで一度通して見ることが大切です。
◆「買える家」ではなく「持ち続けられる家」を選ぶ
住宅購入では、物件価格、住宅ローンの金利、諸費用、維持費などを別々に考えがちです。
しかし、本当に確認したいのは、それらをすべて合わせたときに家計がどうなるのかということです。
価格が安くても修繕費が大きくかかる住宅もあれば、購入価格は少し高くても、当面大きな修繕が必要ない住宅もあります。
また、住宅ローンの金利タイプによって、将来の返済額に対する考え方も変わります。
物件探しでは「この家なら買える」と思った時点で終わりにせず、購入時の諸費用、手元資金、維持費、修繕費、金利上昇、将来の収入まで含めて、その家を持ち続けられるかを考えることが大切です。
住宅ローンで後悔しないために必要なのは、単に借入額を抑えることではありません。
「いくらの家が買えるか」から考えるのではなく、「購入後もいくらを手元に残し、どんな暮らしを続けたいのか」から住宅予算を考える。
その視点を持つことで、目先の返済額だけでは見えなかった、長期的な資金計画が見えてきます。
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