
不動産売却時に
使える控除
特例まとめ
知らないと損する税金のポイント
不動産を売却する時、気になるのが「売ったら税金はいくらかかるのか」という問題です。
ただし、売却価格がそのまま課税対象になるわけではありません。
購入した時の費用や売却時の諸費用を差し引いたうえで利益が出た場合に、原則として譲渡所得に対して税金がかかります。
さらに、マイホームの売却や相続した空き家の売却などでは、一定の条件を満たすことで税負担を軽減できる控除・特例があります。
ここでは、不動産売却で特に知っておきたい制度を整理します。
◆まず知っておきたい「譲渡所得」の計算
不動産を売却した場合の課税対象となる譲渡所得は、基本的に「売却価格-取得費-譲渡費用-特別控除」で計算します。
取得費には購入代金だけでなく、購入時の仲介手数料なども含まれます。
建物については減価償却費相当額を差し引いて計算するため、「昔買った価格より高く売れた=その差額すべてが利益」とは限りません。
取得費が分からない場合などには、売却価格の5%を概算取得費とすることもできます。
また、土地・建物の譲渡所得は給与所得などとは分けて課税され、所有期間によって税率も変わります。
売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得となり、税率は長期のほうが低く設定されています。
◆マイホームなら「3,000万円特別控除」
最も代表的なのが、マイホームを売った時の「3,000万円の特別控除」です。
一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
所有期間の長さは、この特別控除の基本的な要件ではありません。
たとえば、計算上の譲渡所得が2,000万円だった場合、要件を満たしていれば3,000万円の特別控除によって課税譲渡所得がゼロになる可能性があります。
ただし、「以前住んでいた家ならいつ売っても対象」というわけではありません。
住まなくなった後に売却する場合は、原則として、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。
家を取り壊して土地だけを売る場合にも、一定の期限や使用状況などの条件があります。
なお、特例を利用するには確定申告が必要です。
◆ 所有期間10年超なら「軽減税率の特例」も
マイホームを売った年の1月1日時点で、その家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えている場合、一定の要件を満たせば「軽減税率の特例」が利用できます。
この制度では、課税長期譲渡所得のうち6,000万円以下の部分について、通常の長期譲渡所得より低い税率で計算できます。
重要なのは、3,000万円特別控除と軽減税率の特例は、一定の要件を満たせば併用できることです。
「10年以上住んでいるから税金が安い」という単純な話ではなく、所有期間の判定は「売却した年の1月1日」が基準になる点にも注意しましょう。
◆相続した実家・空き家なら
「空き家の3,000万円特別控除」
親から相続した実家を売却する場合には、「被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除」が使える可能性があります。
これは、相続した空き家やその敷地を一定の要件のもとで売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。
ただし、対象となる建物には築年数や構造などの要件があり、相続後に誰かが住んだり、賃貸したりしている場合などは扱いが変わります。
また、相続人が3人以上の場合は、2024年以降の譲渡について控除額が最高2,000万円となる場合があります。
現在の制度では、対象となる譲渡期限も定められています。
相続した家は「古いから売れば使える」と判断するのではなく、売却前に要件を確認しておくことが重要です。
◆相続税を払っているなら「取得費加算の特例」
相続した不動産を売却する人で、相続税も納めている場合には「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」があります。
一定の要件を満たせば、納付した相続税額のうち一定額を、その不動産の取得費に加算できます。
取得費が増えることで、結果として譲渡所得を小さくできる可能性があります。
ただし、相続開始から一定期間内に売却することなどの条件があります。
相続した不動産をすぐに使う予定がなく、売却も選択肢に入っているなら、期限を意識しておく必要があります。
◆ 売却して利益が出なかった場合にも特例が
ある
「購入した価格より安くしか売れないから税金は関係ない」と考える人もいますが、住宅ローンが残っているマイホームでは、売却による損失を利用できる特例があります。
一定の要件を満たせば、住宅ローン残高を下回る価格でマイホームを売却した場合、その譲渡損失を給与所得や事業所得などと損益通算でき、さらに控除しきれない損失を翌年以後3年間繰り越せる制度があります。
買い換えをしない場合でも利用できる特例があります。
また、マイホームを売却して新たなマイホームを購入した場合にも、一定の条件を満たせば譲渡損失について損益通算・繰越控除ができる制度があります。
◆「使える特例を全部使える」とは限らない
ここが不動産売却で特に注意したいところです。
特例には、それぞれ適用条件や期限があり、併用できるものとできないものがあります。
たとえば、マイホームの3,000万円特別控除と10年超所有の軽減税率は併用できますが、特定のマイホームの買換え特例は、3,000万円特別控除や軽減税率の特例と重ねて適用できません。
そのため、「税金を少なくするために、どの制度を使うか」を売却後に考えるのではなく、売却前から確認しておくことが大切です。
◆売却前に確認しておきたいこと
不動産売却の税金は、売却価格だけで決まりません。
「いつ取得した不動産なのか」「自分が住んでいた家なのか」「いつから住んでいないのか」「相続した物件なのか」「相続税を払っているのか」「住宅ローンが残っているのか」などによって、利用できる制度が変わります。
また、特例は自動的に適用されるものではなく、確定申告が必要になるケースもあります。
売却を決めたら、まず購入時の契約書や領収書、仲介手数料などの資料を整理し、利用できそうな特例を確認しておきましょう。
特に相続物件や長く所有しているマイホームは、売却時期によって適用できる制度が変わることもあります。
不動産の売却価格だけを見るのではなく、売却にかかる費用と税金、利用できる控除・特例まで含めて手元に残る金額を考えることが、売却計画を立てるうえで重要です。
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