
住んでから
困らないために ―
契約不適合責任の
基礎知識
中古住宅を購入する時、多くの方が気になるのが、
「購入後に雨漏りが見つかったらどうなるの?」
「中古住宅の不具合は、どこまで売主に対応してもらえるの?」
といった問題です。
住宅は、引渡しを受けて実際に住み始めてから、初めて気づく不具合もあります。
そこで知っておきたいのが「契約不適合責任」です。
以前は「瑕疵担保責任」という言葉が使われていましたが、2020年4月の民法改正により、現在は「契約不適合責任」という考え方が基本となっています。
今回は、中古住宅を購入する前に知っておきたい契約不適合責任の基本と、引渡し前後に思わぬ出来事が起きた場合の考え方についてご紹介します。
◆契約不適合責任とは?
簡単にいうと、引き渡された住宅が、契約で予定されていた内容と違っていた場合に、売主が一定の責任を負う制度です。
例えば、
・契約では雨漏りがないことになっていたのに、実際には雨漏りがあった
・説明されていた設備と実際の設備が違っていた
・契約内容から想定される状態を満たしていなかった
などが考えられます。
契約不適合が認められる場合、一定の条件のもとで、買主は追完(修補など)、代金減額、損害賠償、契約解除などを求められる場合があります。
ただし、「不具合が見つかった=必ず売主が修理してくれる」というわけではありません。
契約書や重要事項説明書、物件状況報告書などにどのような内容が記載されているかによっても判断は変わります。
◆中古住宅では「契約の内容」が重要
中古住宅には、築年数や使用状況による経年劣化があります。
例えば、
・クロスの汚れ
・床や建具の傷
・設備の古さ
・外壁の色あせ
などがあるからといって、すべてが契約不適合になるわけではありません。
一方、契約時に「雨漏りなし」と説明されていたのに、引渡し後に雨漏りが判明した場合などは、契約内容との関係を確認する必要があります。
大切なのは、
「中古だから仕方がない」と最初から諦めるのではなく、その住宅がどのような状態を前提として契約されたのかを確認すること。
これが契約不適合責任を考えるうえでのポイントです。
【市町村別 オススメ物件】
◆契約前に確認しておきたいこと
契約不適合責任を知ることも大切ですが、購入前に物件の状態をできるだけ把握しておくことも重要です。
① 物件状況報告書を確認する
雨漏り、シロアリ、給排水設備などについて、どのような告知がされているのか確認しましょう。
「何が問題ないか」だけでなく、「どのような不具合が告知されているのか」を見ることが大切です。
② 設備の状態を確認する
給湯器、エアコン、換気扇、食洗機などは、築年数や使用状況によって故障することがあります。
その設備が売買対象なのか、故障時の扱いはどうなるのかなどを設備表や契約書で確認しておきましょう。
③ 契約不適合責任の期間・範囲を確認する
中古住宅では、契約書の特約によって、契約不適合責任の期間や範囲などが定められている場合があります。
「いつまで」「どのような不具合について」売主が責任を負うのか、契約前に確認しておきましょう。
◆引渡しの前後で状況が変わったら?
住宅の売買では、契約をした日と引渡しの日が異なることも珍しくありません。
例えば、引渡しを受けた直後に地震や台風などの災害が発生し、建物にひび割れや損傷が見つかった場合、「引渡しを受けたばかりなのに、これは自分で修理するの?」と疑問に思うかもしれません。
その原因が引渡し前から存在していた場合には、契約不適合責任が問題になる可能性があります。
引渡し後に新たに発生した不具合であれば、基本的には買主側で対応することになります。
一方で、引渡し後に発見されたとしても、その原因が引渡し前から存在していた場合には、契約不適合責任が問題になる可能性があります。
例えば、引渡しを受けた直後に地震が発生し、建物にひび割れや損傷が生じた場合。
その損傷が地震によって新たに発生したものなのか、それとも地震によって初めて気づいただけで、実は引渡し前から建物に問題があったのかによって、考え方は変わります。
そのため、災害後に不具合を発見した場合は、「いつ壊れたのか」だけでなく、「何が原因で壊れたのか」を確認することが重要です。
◆引渡し前の災害はどうなる?
では、まだ引渡しを受けていない段階で地震や台風などが発生した場合はどうでしょうか。
例えば、売買契約を締結し、数日後に決済・引渡しを予定していたところ、その間に建物が損傷したケースです。
この場合は契約不適合責任だけではなく、引渡し前の建物に生じた損害を誰が負担するのかという問題も関係します。
さらに、
・売主側の事情で引渡しが遅れていた
・買主側の事情で延期されていた
・双方に責任のない事情で予定日が変更されていた
など、引渡しが遅れた理由によっても事情が変わる可能性があります。
「引渡し前だから売主」「引渡し後だから買主」と一律に判断できるものではなく、契約書の内容や特約、実際の経緯などを確認する必要があります。
◆不具合を見つけたら、まず記録を
入居後に雨漏りや水漏れ、ひび割れなどを発見した場合は、まず写真や動画で状態を記録しましょう。
そのうえで、
・いつ発見したのか
・どこに不具合があるのか
・以前から存在していたものなのか
・災害などが原因なのか
を整理し、早めに売主や不動産会社へ連絡することが大切です。
緊急性のある水漏れなどは応急処置が必要になる場合もありますが、修理前後の状態や費用なども記録しておきましょう。
◆契約書を読むことが「住んでからの安心」につながる
住宅購入では、物件や間取り、住宅ローンなどに目が向きがちです。
しかし、住み始めてからのトラブルを減らすためには、契約書の内容をきちんと理解しておくことも重要です。
特に中古住宅では、
「契約不適合責任はどこまであるのか」
「責任を負う期間はいつまでなのか」
「設備の扱いはどうなっているのか」
「すでに分かっている不具合は何なのか」
を確認しておきましょう。
分からないことを「たぶん大丈夫」とそのままにせず、契約前に確認する。
そのひと手間が、「住んでから困った」を減らし、安心して新しい暮らしを始めることにつながります。
※契約不適合責任の具体的な適用や請求の可否は、個々の契約内容や物件の状況によって異なります。
実際の契約については、契約書等を確認のうえ、必要に応じて専門家へご相談ください。
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