
金利が上がると
家計には何が
起こる?
「金利が上がった」と聞くと、まず住宅ローンの負担増を思い浮かべる人が多いかもしれません。
実際、住宅ローンを借りている人にとって金利上昇は無視できない問題です。
一方で、預金には利息がつくため、金利上昇がすべての人にとってマイナスになるわけでもありません。
問題は、自分の家計が「借りる側」なのか「預ける側」なのか、そして物価上昇まで含めて考えるとどうなるのかです。
2026年6月、日本銀行は政策金利を1%程度としました。
日本銀行は今後についても、経済・物価・金融情勢に応じて、政策金利を引き上げる方向性を示しています。
金利が上がる局面では、住宅ローンだけを見ていてはいけません。
預金、物価、収入、そしてこれから家を買う人の借入条件まで、家計全体で考える必要があります。
◆住宅ローンは「金利が1%上がったら月いくら
増える?」だけでは判断できない
特に注意したいのが変動金利型の住宅ローンです。
変動金利は、一般的に市場金利などの変化を受けて適用金利が見直されます。
日本の住宅ローンでは変動金利型の利用が多く、金利が上昇すると利払い負担が増えることを日本銀行も指摘しています。
例えば、3,000万円を35年返済で借りているケースを考えてみましょう。
金利が低い時には毎月の返済額を抑えられていても、金利上昇によって利息の割合が増えれば、元金が減るペースにも影響します。
ただし、金利が上がった時に、毎月の返済額がすぐ同じ割合で増えるとは限りません。
住宅ローンによって返済額の見直し方が違うためです。
返済額の見直し方法は金融機関や住宅ローンの商品によって異なり、いわゆる「5年ルール」「125%ルール」がある商品でも、それによって金利上昇の影響そのものが消えるわけではありません。
毎月の返済額がすぐに大きく変わらなくても、利息負担が増えれば元金の減り方が変わる可能性があります。
つまり、「今月の返済額が変わっていないから大丈夫」とは限らないのです。
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◆ これから家を買う人は「今の金利」だけで
資金計画を作らない
これから住宅を購入する人にとっても、金利上昇は重要です。
例えば「毎月8万円なら払える」という理由で借入額を決めるのではなく、金利が上昇した場合でも家計が耐えられるかを確認しておく必要があります。
特に35年など長期間のローンでは、借りた時点の金利だけでなく、返済期間中に金利が変わる可能性があります。
一方、固定金利型では、一定期間または全期間について金利を固定する商品があり、金利上昇による返済額の変動を抑えやすいという特徴があります。
ただし、固定金利なら必ず得をするという話でもありません。
固定金利は変動金利より高い水準になる場合があり、将来金利が上がらなかったとしても、その金利を払い続けることになります。
重要なのは、「どちらが得か」を予想することではなく、金利が上がった場合に家計がどうなるかを確認することです。
◆預金金利が上がれば、貯めている人には
プラス?
金利上昇は、預金にも影響します。
政策金利の引き上げを受けて、銀行が普通預金や定期預金の金利を引き上げることがあります。
実際、日本銀行も政策金利の引き上げに伴い、金融機関による普通預金金利の引き上げが公表されていると説明しています。
例えば100万円を預けていて、預金金利が年0.1%なら、単純計算で年間の利息は税引前1,000円です。
金利が年0.5%になれば5,000円。
金利が上がれば、預金残高が多いほど受け取る利息も増えます。
ただし、ここでも注意したいのが物価です。
物価が2%上昇しているのに、預金金利が0.5%しかなければ、数字上は預金残高が増えていても、そのお金で買えるものは相対的に減っています。
日本銀行も、物価上昇率より金利が低い場合には、実質的な預金の価値が目減りする可能性を説明しています。
「利息が増えたから得をした」と、金利だけを見て判断することはできません。
◆金利上昇で本当に見るべきなのは
「借金-預金」
家計への影響を考える時、住宅ローンだけ、あるいは預金だけを見ると判断を誤りやすくなります。
例えば、
・住宅ローン3,000万円・預金500万円
という家庭と、
・住宅ローンなし・預金3,000万円
という家庭では、同じ金利上昇でも影響はまったく違います。
前者は借入金利の上昇が家計を圧迫する可能性があります。
一方、後者は預金金利の上昇による受取利息の増加が期待できます。
さらに、住宅ローンがあっても預金が十分にある家庭と、ほとんど貯蓄がない家庭では、金利上昇への耐性が異なります。
日本銀行も、家計によって住宅ローンの有無、変動・固定金利の違い、預貯金の保有状況などで利上げの影響が異なると説明しています。
だからこそ、「利上げ=家計に悪い」と一括りにはできません。
◆これから家を売る人にも無関係ではない
金利上昇は、住宅ローンを借りている人だけの問題ではありません。
住宅ローン金利が上昇すると、これから購入する人の借入可能額や毎月の返済負担にも影響します。
例えば同じ3,000万円の住宅でも、金利が違えば総返済額は変わります。
その結果、購入予算を抑える人が増えれば、住宅市場で「いくらなら買えるか」という考え方にも影響する可能性があります。
ただし、住宅価格は金利だけで決まるものではありません。
土地価格、建築費、所得、住宅の供給量、地域ごとの需要など、さまざまな要因が関係します。
そのため、「金利が上がれば家が売れなくなる」と単純に考えるのではなく、購入する側の資金計画がどう変わっているのかを見ることが大切です。
◆金利上昇時こそ、家計の「金利耐性」を
確認する
金利が上がった時に慌てないためには、今の家計を一度数字で確認しておくことです。
住宅ローンがあるなら、
・現在の適用金利
・残っている借入額
・残りの返済期間
・変動金利か固定金利か
・金利が上昇した場合の返済額
・繰上返済をした場合に手元資金がいくら残るか
を確認します。
預金についても、普通預金にいくら、定期預金にいくらあるのかを把握しておきましょう。
そして忘れてはいけないのが、住宅ローンの返済と生活費は別々ではないということです。
食料品や光熱費などの物価が上がっているところに住宅ローンの負担まで増えれば、家計への影響は重なります。
逆に、預金金利が上がっても、物価上昇の方が大きければ、実質的な購買力は下がる可能性があります。
金利を見る時に大切なのは、「上がった」「下がった」という数字だけではありません。
自分の家計に、どこからお金が入り、どこへ出ていくのか。
借金と預金のどちらが大きいのか。
そして物価上昇に対して収入がどう変化するのか。
金利のある時代では、住宅ローンも預金も単独で考えるのではなく、家計全体のバランスを見ることが重要になっています。
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