税負担を減らす！
空き家所有者が
今すぐできる
3つの対策
近年、「空き家問題」という言葉を耳にする機会が増えました。
相続や転勤などをきっかけに、使わなくなった家をそのままにしてしまうケースも少なくありません。
しかし、管理の行き届かない空き家を放置しておくと、固定資産税の軽減措置が外れるなどの理由から、思わぬ税負担増につながることがあります。
ここでは、空き家を所有する方が「今すぐできる3つの対策」を通して、税負担を抑えながら大切な資産を守るための具体的な考え方をご紹介します。
1. 放置せず、まずは「現状を把握」
することが第一歩
空き家を所有している場合、「建物の状態」と「適用されている税制」を確認することが大切です。
住宅が建っている土地には通常「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大で6分の1、都市計画税は3分の1まで軽減されています。
しかし、建物が老朽化し「特定空き家」に指定されると、この特例が解除され、税額が一気に数倍になることもあります。
特定空き家とは、
・倒壊の危険がある
・衛生面で周囲に悪影響を及ぼす
・景観を損ねている
といった状態の建物を指します。
まずは自治体の担当課に相談し、現状がどう見られているのかを確認しましょう。
そして、必要であれば早めに修繕や清掃、草木の手入れを行うことが大切です。
「まだ大丈夫」と思っていても、見た目の印象ひとつで特例が外れる可能性があります。
2. 「売却」や「賃貸」など、活用を
検討する
空き家の維持には、固定資産税だけでなく管理費や修繕費もかかります。
使わないまま保有し続けるよりも、資産として活かす方法を考えることが、長期的に見て最も負担を軽くする近道です。
▷ 売却を検討する場合
近年は「古家付き土地」として売却するケースが増えています。
古い建物があっても、解体を前提に土地として販売することで、買い手がリフォームや新築を自由に計画できるため、需要が見込めます。
また、一定の条件を満たせば、相続した空き家を売却した際に最大3,000万円の特別控除（いわゆる「相続空き家の3,000万円特別控除」）が受けられます。
この特例を上手に活用すれば、譲渡所得税の負担を大きく減らすことができます。
▷ 賃貸やリフォーム活用も選択肢
リフォームして貸家や民泊、セカンドハウスとして活用することで、固定資産税の軽減措置を維持しながら収益を得ることも可能です。
古民家風のデザインや自然素材の内装など、「味わいを活かすリフォーム」は近年人気が高まっています。
空き家を「負担」ではなく「資産を生み出す家」へ変えることが、次世代への資産継承にもつながります。
3. 専門家に相談し、最適な方針を
立てる
空き家に関する税制や補助制度は、年々改正や新設が行われています。
「空き家対策特別措置法」や「特定空き家の指定基準」などは自治体ごとに異なるため、インターネットの情報だけでは判断が難しい場合も多いものです。
そこで重要なのが、不動産会社や税理士などの専門家への相談です。
・売却か、活用か、どちらが得か
・解体のタイミングはいつが良いか
相続登記や税申告の準備はどうすべきか、こうした判断を早い段階で整理しておくことで、無駄な税負担を避けられます。
地域に密着した不動産会社は、「市場の動き」「リフォーム需要」「補助金制度」などを把握しており、売却や再利用に向けた具体的な提案もしてくれます。
ご自身だけで悩まず、専門家と一緒に最善策を描くことが、結果的に大きな節税につながります。
■ 売却前に知っておきたい！空き家の税金控除まとめ
空き家を手放す際には、売却益に対して「譲渡所得税」がかかります。
しかし、条件を満たせば税金を大きく軽減できる特例を受けられます。
代表的なのが、「相続空き家の3,000万円特別控除」です。
これは、相続で取得した家屋を一定期間内に売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できるという制度です。
対象となるのは、
・被相続人が一人暮らしで亡くなった後の空き家であること
・昭和56年5月31日以前に建てられた住宅であること
・売却時に耐震リフォーム済、または解体済であること
などの条件を満たす場合です。
また、長期保有（5年以上）した不動産の軽減税率や、特定の買い替え特例が利用できるケースもあります。
税制は年度によって細かく改正されるため、売却前に不動産会社や税理士へ相談し、「自分がどの特例を使えるのか」を確認しておくことが大切です。
節税の知識を持つことで、空き家の売却はより前向きで有利な選択になります。
手放すことが「終わり」ではなく、「次の資産形成の始まり」となるでしょう。
■ 空き家を“守る”ことは、家族の未来を“活かす”こと
空き家を持つということは、維持と管理の責任を引き受けることでもあります。
しかし、適切な管理と判断を行えば、「増税リスクを防ぎながら資産価値を保つ」ことが可能です。
リフォームや売却を通じて、家を「次の誰かに受け継がれる場所」へと再生させることは、家族の未来への投資でもあります。
税負担を減らすための3つの行動――
・状況の把握
・活用の検討
・専門家への相談
このステップを踏むことで、空き家の持つ可能性をもう一度見つめ直すきっかけになるでしょう。
「家を守る」という行動は「家族の安心を守る」こと。
今、少しの行動を起こすことで、きっと明るい明日につながるはずです。
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